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■船旅ものがたり
このページではクルーズ乗船記や船にまつわる歴史、逸話など、船旅に関する読み物を掲載しています。
今回は、2006年2月26日に就航したばかりの飛鳥IIモニター・クルーズの様子をご紹介します。
飛鳥II、モニター・クルーズ乗船記
クルーズライター:拓美 晟

下から見上げるととても大きく感じられる飛鳥IIの船体
 今回、幸運にも誕生したばかりの新しい、そして日本の客船のフラッグシップとも言える、飛鳥IIのモニター・クルーズに乗船する機会をいただきましたので、その様子をレポートさせていただきます。

 このモニタークルーズの前日、2月26日に横浜大さん橋で実施された「飛鳥II」命名式の様子を、テレビや新聞でご覧になった方も多かったことでしょう。2006年は、世界最大のクルーズ客船「フリーダム・オブ・ザ・シーズ」の就航をはじめ、クルーズ業界の話題も多いのですが、やはり日本では、この史上最大の日本船「飛鳥II」の誕生が大きくクローズアップされ、テレビや新聞などのマスメディアでこの新しい船の話題を目にする機会も多いですね。

 今回のモニタークルーズは、命名式翌日の2月27日に横浜港を出航、1泊2日ノンストップのワンナイトクルーズです。当日、生まれたばかりの飛鳥IIの船内を早く見たかったので、受付開始の午後3時半に横浜・大さん橋に到着できるように出かけました。朝の天気予報では、相模湾の天気はうねりを伴う3〜4メートルの波とのこと。あまり揺れないことを祈りつつも、横浜港・大さん橋へと向かいます。大さん橋は、みなとみらい線の開通でアクセスも大変便利になりました。最寄り駅の日本大通り駅からは、およそ徒歩7分です。

 飛鳥IIは、先代の飛鳥と比べると1.7倍の大きさとの事ですが、大さん橋に近づくにつれ、それ以上に大きく堂々とした白い船体に目を奪われました。世界では10万トン以上の巨大船が次々と誕生する時代になりましたが、今までの日本船を見慣れた目には、5万トンの船体はとても大きく感じられます。
 

広いアトリウム
 横浜港大さん橋国際旅客ターミナルに到着すると、すでに、ロビーにはデッキごとに別れたチェックインカウンターがオープンし、乗船手続きが始まっていました。カウンターで乗船券を提示し、手続きを済ませ、客室のキーと船内での買物や有料サービスがサインだけで利用でき、キャッシュレスカードのようにも使える乗船カードを受け取っていよいよ乗船です。

 手荷物のX線検査を受け船内に入ると、まず広いアトリウムに目を奪われます。とりあえず、エレベーターに乗り、客室に向かいます。今回、利用させていただいた客室はFステートという客室で、面積は18.4平方メートル。シングルベッドが2台並び、ソファーも別にあります。旧飛鳥のステートルームでは、ソファーベッドとプルマンベッドの2台を、日中はプルマンベッドを収納し、ソファーベッドをソファーとして利用していましたので、かなり広く感じます。DVDデッキ内蔵のテレビ(この時は、DVDプレイヤーのリージョナルコードは北米のみの対応と注意書きが書いてありました)のほか、デスクには飛鳥ガイドや船内新聞「アスカ・デイリー」のほか、日本茶・梅茶が添えられた湯のみセットと湯沸しポットが、また、冷蔵庫には無料のミネラルウォーターとソフトドリンク、氷が用意されていました。
 

Fステートルーム
 バスルームには、充実したアメニティーのほか、日本マーケット向けに新たに設置されたウォシュレット完備のトイレ、そして全室バスタブ付の飛鳥IIですので、もちろんバスタブもあります。もっとも、世界一周クルーズでは、大浴場がある日本船では、各地で買い求めたお土産の倉庫代わりにバスタブを使われる方もいらっしゃるそうですが・・・。また、クローゼットも大人一人が入れるスペースがあり、先代飛鳥と比べると多少広いように感じました。

 荷物を置き、セーフティーボックスにお財布をしまって、いよいよ船内散策に出発です。途中で出会うスタッフたちも笑顔で「こんにちは!」と声をかけてくれます。船内一の見晴らしを誇るビスタ・ラウンジやプール、インストラクターも常駐するフィットネスセンター、有料ですがEメールの送受信だけでなくウェブの閲覧もできるようになったコンピューター・プラザなどを見学しているうちに、やはり新設された「ザ・ビストロ」を発見。船内をくまなく散策するつもりが、ここでケーキとクッキーのティータイムとなってしまい、くつろいでいるうちに出航の時間が迫ってきました。そこで出航の様子を一目見ようと、あわててプロムナードデッキへと移動です。

盛大な見送りを受けて出航
 デッキでは、すでに出航の銅鑼が鳴り響き、シャンパンやオレンジジュースが振舞われています。今回のクルーズは、飛鳥IIの初めての出航と言うことで、桟橋には見送りの方がたくさんいらっしゃっており、また、空には取材のヘリコプターもやってきていました。デッキから見送りの方に投げる色とりどりの紙テープが、出航の雰囲気を盛り上げます。これこそ横浜ならではの出航風景ですね。17時に飛鳥IIは大さん橋を離岸。いよいよ1泊のショートクルーズではありますが、飛鳥II最初の航海に出航です。

 ベイブリッジの下を通り、本牧埠頭を過ぎると「アマデア」として生まれ変わるために三菱重工横浜造船所のドッグに入っている旧飛鳥が見えました。すでに、ファンネルは緑色に塗り替えられており、15年にわたる旧飛鳥の活躍を想いだすと一抹の寂しさを感じる一瞬でした。
 

この日のアントレ
 しかし、感傷的になっている暇はありません。18時からはメインダイニング「フォーシーズンズ・ダイニング・ルーム」にて夕食です。バンドがダイニングルーム内を廻り陽気な音楽を奏でる中、フルコースの夕食です。8人テーブルで、周りの皆さんとの会話を楽しみながら、春の季節感たっぷりの料理を堪能することができました。また、隣の席では、ちょうどお誕生日を迎えられた方がいらっしゃり、クルーや周囲のお客様と皆でハッピーバースデーの歌を歌い、楽しいお誕生会となりました。夕食の際、オーダーしたグラスワインは500円で、とても良心的な料金です。なお、飛鳥クルーズでは通常、夕食は2回制がとられていますが、今回は1回のみでした。同様に通常のクルーズでは、前菜・スープ・メインコース・デザートはそれぞれ3種類から選べるそうです。

 夕食の後は、飛鳥クルーズ自慢のプロダクションショーを楽しむつもりだったのですが、ゆっくりと夕食を楽しみ、広い船内であちらこちらに寄り道し、そして、東京湾の夜景を楽しんでいるうちに見損なってしまいました。とても残念でしたが船内の楽しみ方も一人一人千差万別ということを実感しました。
 

船上での楽しみの一つ、ダンス
 実際、ルーレットやスロットマシーンなどで本場のカジノの雰囲気を楽しめるラスベガス・コーナーや、4つのショップがならび充実したショッピングエリアでのお買い物、旧飛鳥ではプロダクションショーの会場でショー終了後におこなわれていたダンスタイムも、専用の「クラブ2100」ができたので以前よりじっくり楽しめるようになったり、船内で上映される映画を楽しんだり、また、日本船初の「シガーバー」でシガーを楽しんだり、フィットネスセンターでトレーニング、そして日本船ならではの大浴場「グランド・スパ」にて大海原を眺めながらくつろぐ・・・。

 今回のモニタークルーズでも、乗船されていた皆さんそれぞれ、いろいろな楽しみ方をされていた様子でした。残念ながら、話題の資生堂サロン&スパはまだオープンしていませんでしたが、カップルで楽しめるトリートメントや、男性向けのトリートメントも用意されるそうですので、こちらも楽しみですね。
 

飛鳥IIでも田村能里子画伯の作品に出会えます
 船内を歩き回って感じましたが、旧飛鳥では公室が船尾に縦に集中していたので、階段で上下する事も多くご不満を感じられた方もいらっしゃったかと思います。しかし、飛鳥IIの公室は、5デッキ、6デッキ、11デッキに集中していますので、船内の移動は少し楽になったかもしれません。また、船長が長くなったため、エレベーターも3箇所に合計8基設置されています。

 飛鳥IIは、皆さんがそれぞれ楽しんでいる間に東京湾を9ノット前後でゆっくりと南下し、相模湾へと進んできました。右舷には、鎌倉から湘南の夜景が広がります。夜、23時から夜食の時間となり、乗客の皆さんが「リド・カフェ」に集まってきました。ついつい私も「あれだけ食べてまだ食べるの?」と言う、妻の冷たい視線を感じながらも一通り食べてしまいました。でも、広い船内を行ったり来たりしているとそれなりにお腹も空いてしまいますよね。空腹も満たされ、就寝するころには、船は熱海の沖を引き続きゆっくりと航行しておりました。心配した揺れは、海の上を走っている事を感じる程度で、心配するほどの揺れはなく、穏やかな航海でした。

ついつい食べてしまった夜食
 翌朝は、前日食べ過ぎてしまいましたので、6時30分からクルーズスタッフとデッキを歩く「ウォーク・ア・マイル」に参加しようと思っていましたが、デッキに出てみたらとても寒かったので断念。船の右舷には伊豆大島がうっすらと見えています。天気がよければきっとすばらしい富士山を望むことができたのでしょうが、こればかりは仕方ありません。富士山の記念写真を撮ることはあきらめ、7時から朝食をいただきに「リド・カフェ」に出かけました。

 旧飛鳥同様、飛鳥IIでももちろん朝食・昼食ともビュッフェスタイルの洋食と、フォーシーズン・ダイニングルームでの和食が用意されています。中には、和食の朝食を食べてから洋食ビュッフェに移動される方もいらっしゃるとか。また、昼食は、グリルコーナーにてハンバーガーやピザ、ホットドッグなどを選ぶことも可能です。
 

みんなで避難訓練
 今回のワンナイトクルーズは横浜着が14時と、通常10時到着のワンナイトクルーズと比べると時間の余裕があったためか、避難訓練も実施されました。ベルの合図で救命胴衣をつけ指定のボートステーションに集合します。この日は寒い北風が吹きつけていたため、事前に「船長より暖かい服装でお集まりください」との案内がありました。

 その後も、1泊だけのクルーズでしたが、船内ではお客さんが駒になり、スタッフが転がす大きなダイスの目の数字分だけマス目を進み競争するホースレースゲーム、ハンカチを使った手品を習うマジック教室、千代紙でブローチを作る手芸教室など盛りだくさんのイベントが実施されており、時間の許す限り見学してみましたが休む暇もありません。
 
 そうこうしているうちに、飛鳥IIは進路を変えるため汽笛で合図をしながら浦賀水道へと進んで行きます。船首の「ビスタラウンジ」に移動し、コーヒーを飲みながら東京湾を行き交う船を眺めていると、浦賀水道が世界有数の交通量の多い海上交通の要衝であることが実感できます。


昼食は和食にしました
 浦賀水道を通過すると、横浜港ももう目前です。昼食は和食をいただきました。花の節句ももうすぐなので、ひな祭りらしい華やかな色彩のちらし寿司のランチを楽しんでいると、左舷には八景島シーパラダイスが見えてきました。客室に戻り下船の準備をしていると、ベイブリッジ通過の船内放送がありました。

 短いクルーズではありましたが、日常とは違う楽しく充実したひと時を体感することができました。今度は是非、航海日のあるクルーズで、デッキで太陽の光を浴びながら、何もしない贅沢を味わう事ができたらいいな、と感じました。
飛鳥IIで行くクルーズ

2008年3月までの飛鳥II、国内クルーズをご案内しております。

詳細はこちら
クルーズ羅針盤「今月のスポットライト」
さよなら名船飛鳥(2006年2月掲載)
 
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