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■船旅ものがたり
このページではクルーズ乗船記や船にまつわる歴史、逸話など、船旅に関する読み物を掲載しています。今回は地中海クルーズの乗船記をご紹介します(第1話〜シリーズ全3話)。

MSCクルーズ MSCシンフォニア 7泊8日地中海クルーズ乗船記
「第1話  コロンブスの故郷からいざ、出航」

クルーズライター:拓美 晟

シャープな気品漂うMSCシンフォニア

 まだ肌寒さが残る3月のジェノバ。地中海のクルーズは4年ぶりでちょっとワクワクしている。今回の寄港地はジェノバを出港してナポリ、パレルモ、チュニス、パルマ・デ・マヨルカ、バルセロナ、マルセイユと巡ってジェノバに戻る。地中海沿岸の大周遊コースだ。乗船するのは生粋のイタリア資本の船会社、MSCクルーズのMSCシンフォニア。MSCとはMediterranean Shipping Companyの略で、その名の通り貨物船運航が主体の船会社だ。

 貨物取扱いでは実に世界第二位を誇る大会社で、客船の運航はその事業の一部として始められた。世界のクルーズ会社のグループ化が進む中、他企業に属さずオリジナリティを大切にしているユニークな船会社といえる。


海洋博物館のガレー船は大きさが大迫力

 ジェノバで乗船前にふらりと海洋博物館に立ち寄った。館内は思ったより広く、3階の展示場までギッシリ、海と船に関する資料や絵画で詰まっている。中でもガレー船の実物大模型は大迫力で、うす暗い照明とサラウンドの音響がいっそう気分を盛り上げている。ガレーという言葉はギリシャ語のGaleas(ガレアス)=かじきマグロが語源らしい。模型を見てなるほどソックリ、ひとつ勉強になった。

 そして1階部はすべてコロンブスの歴史。そう、ご存知の通りジェノバはかの大航海家の生まれ故郷なのだ。この町で生まれ育った彼は後にポルトガルに渡り、女王の命を受けて幻の国ジパングを探すべく出航した。考えてみると当時から現代までの約500年間で、船舶技術はなんと目覚ましい発展を遂げた事だろう。今日こうして私たちが気軽にクルーズを楽しめるのも、先駆者たちの幾度とない挑戦と失敗があったからに他ならない。そう思うと冒険家たちのロマンが乗り移ったかのように、むしょうにこれからの船旅が待ち遠しくなった。


窓側キャビンは清潔で居心地もバツグン

 午後、バスでクルーズターミナルへ。MSCシンフォニアはもともとイタリア、フランス、ギリシャの共同出資会社であるフェスティバルクルーズ社の客船だった。当時は「ヨーロピアンスター」として知られていた船は去年、同社の経営破たんを機に売却され、現在のMSCシンフォニアとして生まれ変わった。5万8千トンの船体は大きすぎず小さすぎず、地中海を巡るのには適度に小回りがきいてちょうどよいサイズだ。

 ターミナルでスムーズに乗船手続きを済ませウェルカムドリンクで喉を潤してから、いよいよ乗船する。船内の第一印象はエレガントで清楚といった感じで、2002年造船とは思えないほどまだピカピカだ。カジュアル船と聞いていたが、インテリアはどう見ても高級船のそれに近く、大理石をふんだんに用いたパブリックスペースを洒落た間接照明のやわらかい光が引き立てている。スチュワードに案内されてキャビンへたどり着くと、室内がこれまたしっくり落ち着くのだ。窓付きの外側キャビンは木目調で統一され、センスの良いブルーのベッドリネンに壁にはマチスのレプリカ。明るくてヨットやクルーザーみたいな雰囲気だ。バスルームのアメニティーはかわいらしいピンクで、タオルはけっこうフカフカしている。シャワースペースは思いのほか狭かったので、大柄の人にはちょっと不自由かもしれない。


吹き抜けのレセプションエリアはシティホテルのよう

 ひと息ついて早速、船内探索に出発する。レストランは2つ、ラウンジは全部で7つ。ブティックは多数あり、船のロゴ入りグッズを扱うシグネチャーショップから時計やサングラスブランドショップ、免税店、宝石店などがレセプションの両サイドに華やかに軒を連ねる。スパは「Le Therme」というイタリアの専門店なのだが、なぜかバリマッサージが一押しだ。めずらしいイベント施設ではパターゴルフやゴルフのシュミレーターなんていうのがあった。6万トン近い船体だとさすがにいっぺんでは細部まで見きれないので、未開の部分は後日の楽しみに残し、夕食の支度へとキャビンに戻った。翌日が船長主催のウェルカムカクテルパーティーとフォーマルディナーだったので、食事の話はまた次回にゆっくりと・・・。


カプリ島の港にはカラフルなボートがよく似合う

 翌日はナポリに寄港。この地の寄港地ツアーはポンペイ遺跡の観光が有名だが、今回はカプリ島のツアーに参加してみた。水中翼船に揺られて約45分で、ボートは島で唯一の港、オールドポートに到着した。ミニバスに乗ってまずは丘の上にそびえるアナ・カプリの町へ(道が狭いのに飛ばすから結構怖い)。町からは眼下にカプリの湾やビーチの眺望が素晴らしく、自由散策にはちょうどいい。この町のはずれには作家であり精神科医であった、アクセル・ムンテの邸宅がある。隣接する英国風の庭園は美しく、絶好のフォトスポットだ。カプリの町も訪れたが、こちらはもっと商業的で、ショッピングストリートやホテルが点在していた。とても雰囲気のよい島なので、夏はさぞ世界中の観光客でごった返すのだろう。今回は足を運べなかった有名な「青の洞窟」は、次回へのお楽しみにとっておこう。

(第2話へつづく)

 第2話「シチリア島より北アフリカの地へ」
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