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■今月のスポットライト
野崎キャプテン講演会

野崎キャプテン

 去る7月14日、横浜の日本郵船歴史博物館にて、前飛鳥キャプテンで、現在日本郵船歴史博物館の館長代理を務められている野崎利夫さんの講演会を実施いたしました。

(注:野崎キャプテンの崎の字は、山部に立可ですが、コンピューターの環境によってご覧いただけませんので、崎の字で表記させていただきます)

 野崎船長は、1963年に日本郵船に入社後、貨物船やコンテナ船、タンカー等に航海士として乗船、その後1983年にキャプテンに昇進され、1990年には長崎のハウステンボスのシンボルとして活躍した復元帆船「咸臨丸」の建造地オランダ・ロッテルダムから横浜までの回航を指揮されました。また1992年からは北極から南極まで地球を探検した客船「フロンティア・スピリット(現ブレーメン)」の副船長に従事された後、1993年より「飛鳥」3代目キャプテンに就任。2005年5月まで12年間に渡り船長を勤められました。中でも1996年の初の世界一周クルーズを含む5回に渡る世界一周クルーズを指揮され、また2001年には初めて南半球をめぐる世界一周クルーズ、2004年には日本の客船として初めて南極海を航海するなど、日本のクルーズ史に残る数々のクルーズを指揮されました。


 今回は、野崎キャプテンに、キャプテンも何回かご一緒されたと言う精神科医で医学博士だけでなく、作家としても知られる斎藤茂太さんの世界一周クルーズにおけるお客様の精神状態のお話をベースに、より長期クルーズを楽しく快適に過ごすコツをお話いただきましたので、その要約をご紹介します。

 まず、世界一周航海の始まりは日本からシンガポールへの航海です。お客様の中には、毎日朝6時から始まる船内イベントのすべてに参加されようとする方もいらっしゃいますが、もともと船内イベントは船上でやることが無い人のために設けられたイベントです。一生懸命参加していればやはり疲れます。日本から赤道直下のシンガポールへ向かう間、気候の変化だけでも疲れるのに、イベント疲れしてしまうお客様もいらっしゃるそうです。そこで、この期間を第一混乱期と斉藤先生は呼ばれるそうです。


楽しいキャプテンのお話に耳を傾ける皆さん

 飛鳥のクルーズでは、お客様が疲れ切ってしまわれないよう、わざと船内イベントをオーバーラップさせたり、さらにはイベントだけでなく、ブリッジも閉めてしまうノーアクティビティーデーを設け、お客様には洗濯する時間や、安心して休んでいただける日も設けているそうです。シンガポールを過ぎると、船内イベントの参加者も自然にそれぞれバラけ、やがて、スエズ運河を抜け地中海に入る頃には船内の様子もやっと落ちついてくるそうです。

 さて、地中海に入ると見所いっぱいのヨーロッパです。船は連日のように寄港地に立ち寄り、寄港地でのエクスカーションで毎日石の階段を上ったり下ったりして、お客様もみな疲れてきます。地中海も西にやってくると、船に戻ると寝るだけと言うお客さんも出てきますが、やがて、船は大西洋を横断し、自由の女神に出会える頃、船内にも活気が戻ってきます。 

 いったん活気が出てきた船内も、船がカリブ海にはいる頃までは楽しい雰囲気が続きますが、この頃には、「氷アイスの小豆がそろそろなくなってくる」など、船員と同じくらい船の事を知っているお客様も現れます。船のことも色々と分かってきて、さらに気候が暑くなってくると、再び、色々なことに面白くなくなってくるお客様が現れます。

 いよいよ、パナマ運河を越え太平洋に入ると、ホッとするクルーたちとは裏腹に、家族や友人たちから色々なニュースを耳にするようになり、またもうすぐクルーズも終わってしまう悲しさからか、機嫌の悪い方が増えてきます。そして、船がハワイを出航すると皆さん諦めの境地となり、帰国となるのです。

 今回は、世界一周クルーズの例でお話いただきましたが、よりクルーズを楽しむためには.友達をたくさん作る事が重要ですし、船ならではの習慣で人間関係を円滑に保つことも必要です。堅苦しいと思われがちなドレスコードは、元々欧米の客船から始まった習慣です。限られた船上の空間では、人間関係が密になりすぎてしまい、各々が立ち入って欲しくない壁を越えたり、干渉してしまうこともあります。そうすると人間関係がどんどん悪くなってしまいます。そこで週に一回、フォーマルナイトを設けて、自分たちの人間関係を一歩下がって見直していきましょう、ということで始まった習慣です。


アクションを交え船旅の楽しさを大いに語っていただきました

 また欧米の客船では、基本的にテーブルメイトはずっと一緒です。テーブルメイトとは、本当に仲良くなれるものですが、中にはどうしても同席したくない人もいます。嫌な時はテーブルを変えてもらうこともできますので、嫌な事に対しては「NO」ということも船旅を楽しむコツでしょう。

 船は、ひとつの村が洋上を走っているような、運命共同体です。キャプテンは、一日一回、8時55分から9時までの5分間、乗客の皆さんにスピーチをし、お客様が不安になることがないように情報を開示します。

 船旅は、楽で良いものです。最近の客船は揺れも少なく、外国船は日本船よりも多少涼しい温度調整がされていますが、飛鳥の場合は23〜24度と船内温度も一定に保たれ快適です。船は、一度乗船すると気に入らないからといって下りてもらうわけには行きません。そのため、船側もお客様同士のコミュニケーションを持ってもらえるように色々な工夫をし、また、サービスに対し「NO」といわれるお客様は、ハードや食事に関しても不満を持っています。そのため、クルーにはお客様にジェラシーを感じさせなくする教育を徹底しています。



日本郵船歴史資料館

 今回は、野崎キャプテンが館長代理を勤めていらっしゃる日本郵船歴史博物館のオリエンテーションルームを会場とさせていただきました。

 昭和11年に建築された、16本のコリント式の柱頭が50メートルにもわたって堂々と建ち並ぶ日本郵船横浜支店ビルの1階部分を改装した博物館の内部には、日本を代表する大手海運会社、日本郵船の明治初期の草創期から、欧米の海運会社の独占状態であった遠洋航路へ果敢に参入し、戦前の欧米航路の豪華客船の時代、殆どの船舶を失った終戦後の再スタート、そして見事に復活し高度成長期を支えた貨物輸送や客船事業の復活といった日本郵船の歴史が、精密なモデルシップやかつての豪華客船のディナーのメニューとサンプルなど、興味深く貴重な資料が分かりやすく展示されています。

 横浜にお出かけの際は是非一度お立ち寄りください。

日本郵船歴史博物館
住所:横浜市中区海岸通り3−9
TEL:045-211-1923
ホームページ:http://www.nykline.co.jp/rekishi/

・開館日時:10:00〜16:30 (7月〜9月 10:00〜17:00)
・休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始、その他臨時休館日

・入場料:一般500円(300円)
      中高生300円(200円)
      ()内は15名以上の団体、および障害者、70才以上の特別料金。
      障害者・シルバーの方は、障害者手帳・年齢を証明するものの提示が必要です。

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クルーズ羅針盤「船旅ものがたり」
飛鳥IIモニタークルーズ乗船記(2006年3月掲載)
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さよなら名船飛鳥(2006年2月掲載)
 
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