四川省から重慶にまたがる四川盆地は、古代石刻像の宝庫と言われ、無数の石像が残されています。その中でもとりわけ、量・質ともに優れた石像が残されているのが、重慶市大足県の大足石刻です。その数5万体以上で、大足石刻として1999年12月、世界文化遺産に登録されました。 中国の石刻美術は、古代インドの石刻造像文化が仏教の伝来に伴って中国へと伝えられたもので、莫高窟など中国三大石窟をはじめ数多くの石窟遺跡が残されていますが、大足石刻もその一つといえます。大足石刻は三大石窟の中に入ってはいないものの、それらに匹敵する規模、芸術性をもっています。 大足県内には少なくとも75ヵ所の石窟があり、その中では北山、宝頂山、南山、石門山、石篆山などの石窟が有名です。その中で北山石刻と宝頂山石刻が大足石刻を代表するものとして多くの観光客が訪れています。 北山石刻は大足市街から北西2kmにあり、造成は892年から13世紀ごろまで続けられ、釈迦仏、阿弥陀仏、薬師仏、菩薩などの石像だけでも1万体以上も造成されています。これらの石像は数ヵ所に分かれていますが、特に仏湾地区には4360体あります。その中で最も人気があるのが数珠手観音像で、「北山石刻 の冠」と称えられています。その美しくもあでやかな容姿から「媚態観音」とも呼ばれています。 宝頂山摩崖石刻は、大足市街から北東約15kmの宝頂山に位置しています。石刻造像は1万体以上もあり、その中心になっているのが大仏湾です。宝頂山石刻は南宋時代に造営されたもので、中国密教の影響が強く表れています。特に有名なのは全長31mの涅槃像と、実際に1007本の手をもつ千手観音は、中国でも最大のもので、全身に金箔が張られています。