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城壁で囲まれた街、平遥。新空港の建築が進む太原空港から、快適な高速道路を飛ばして約1時間半。
黄土高原の土ぼこりの中に美しい城壁が延々と続く街にたどり着く。時間がいっきに逆戻りを開始する。
城門に入ったつもりがそこは城門ではなく、方形の広場に出る。これは瓮城(おうじょう)と呼ばれ、検問所のような役割を果たす場所だそうだ。上を見上げるとさまざまな武器がこちらに向かって置かれている。
思わず、「怪しいものではございません」と叫び出したくなる。
城内に踏み込むと電気カートの運転手から声がかかる。てっきり城(中国語で城は街の意味)の中心へ連れて行ってくれるのかと思いきや、途中で降ろされてしまった。自転車と人だけが通れる幅を残して、道の真ん中に車両進入禁止のバリケードが置かれている。タイムトラベラーを気取るには、自分もまた文明の利器は捨てなければならないのだ。
平遥が為替業務で中国全土を牛耳ったのが、清の時代。なんと皇帝の口座も扱っていたらしい。
街の中心には、その財力に任せて技の粋を集めた四合院が並ぶ。子孫繁栄、商売繁盛などの祈りが込められた精緻な木や石の彫刻。美しい花鳥や幾何学模様の浮き彫りが施された窓枠。またここの四合院は、他の北方の街のそれとはちょっと違う。黄土高原の洞窟式住居「ヤオトン」を思わせるアーチ型が、ベランダの屋根や中庭に面した部屋の入口に見られ、独特の雰囲気が漂う。
もともとの北方文化に南方文化や西方文化の融合を感じる。中国全土を飛び回り、各地の文化を持ち帰った平遥の営業マンたちの成せる技だろうか。
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